大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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マイクロアグレッション関連文献読書会 10月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日:10月23日
今月も引き続き、デラルド・ウィン・スーの著作『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』の読書会をおこないました。今回は第11章の読書会をおこないました。
第11章では、主に教育におけるマイクロアグレッションが扱われていました。参加者に教育学を研究するメンバーがいたため、日本の状況と比較しながら議論することができました。特にスーの著書ではそれほど議論されていなかった、教育を巡る制度的状況について注目することができたと思います。
11月も引き続き『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』を読み進めます。
また来年1月からはロビン・ディアンジェロの『ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか?』(日本語訳は明石書店)を読み進めることになりました。
いずれの読書会も新規参加者を募集しています。ご関心ある方はお気軽にご連絡ください。

「ラカンと現代社会」研究会 10月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日:10月18、25日
10月の研究会では、ラカンのセミネール『精神分析の四基本概念』の第Ⅵ講を読み始めました。話題が次々と変わるラカンの文章を丁寧に検討しながら、参加者それぞれの解釈を提案するような議論をおこなうことができました。
また研究発表をおこないました。アメリカの批評家フレドリック・ジェイムソンにおけるフロイトとラカンの受容を扱うものでした。特にジェイムソンにおけるジャン・ポール・サルトルとフロイトの位置関係を巡って議論しました。
11月も引き続き『精神分析の四基本概念』を読み進めます。

対話番組「Radio PiXOL テツガクシャの御用聞き」2023年10月活動報告

2023年10月12日(木)、Youtubeにて2023年度第6回(全体では第14回)放送を
実施しました。本番組のメインパーソナリティーである「のじにぃ」(野尻英一先
生)と「ともちゃん」の二人に加えて、ゲストとして、民間企業をリタイア後、哲学
書に再トライなさっている「ショウケン」さんにご出演いただきました。
放送では、ショウケンさんの学生時代のお話から、民間企業をリタイア後に設定し
た勉強の目標まで、幅広いお話をしていただきました。「哲学書をみんなで読むこと
は楽しい」というメッセージが強く印象に残っています。
以下は、ショウケンちゃんさんとのじにぃからいただいたご感想です。


【10月ゲスト・ショーケン】
分からないこと、知りたいことが山ほどある。だからこそ哲学の古典を読むのです。
難解でわからなくても粘ってみよう。
少しでもわかり始めると、ほんとに面白くなる。病みつきになる。
ともに議論できる仲間がいるともっと楽しい。年齢は関係ない。


【のじにぃ】
人に歴史あり。ショーケンさんの長い人生の積み重ねからくるお話、一つ一つのエピ
ソードに味のしみたおでんのようなうまみがあり、もっといつまでも味わっていたい
と思いました。大学者のお名前も身近な方たちとして登場してびっくり。堪能させて
いただきました。また来てください!


次回は、11月16日(木)21:00-22:00に配信します。ぜひご視聴ください。


報告:眞田航(哲学と質的研究)

対話番組「Radio PiXOL テツガクシャの御用聞き」2023年9月活動報告

2023年9月28日(木)、Youtubeにて2023年度第5回(全体では第13回)放送を
実施しました。本番組のメインパーソナリティーである「のじにぃ」(野尻英一先
生)と「ともちゃん」の二人に加えて、ゲストとして「のりちゃん」さんにご出演い
ただきました。のりちゃんさんは、デザイン関係の仕事をされていた方です。
放送では、かつて予備校で受けていた授業や、東京の電車に揺られながら物思いに
ふけっていたことなどが、原体験として、現在の哲学の勉強につながっていると話さ
れていました。また、デザインと哲学の関係についてなどもお話しいただきました。
以下は、のりちゃんさんとのじにぃからいただいたご感想です。


【9月ゲスト・のりちゃん】
とても楽しくて、あっという間の60分でした。「世界にさわる感触」という言葉が頭
から離れません。土を捏ね、掌と土の応答のなかで生まれてくる形「茶碗」を再び目
と手と唇で愛おしむ。私たちはそういった経験の時間を、どんどん失っている気がし
ます。取り戻したいですね。


【のじにぃ】
大学でデザインを勉強されつつ、哲学に関心を持ってきたのりちゃんさんと、本当に
楽しいお話ができました。哲学は言語化できないものを言語化しようとする試みです
が、そのときにいつも境界にある「感触」が大事だと思っています。そのことを思い
出すことができた素敵な一時間でした。感謝です。


報告:眞田航(哲学と質的研究)

人類学基礎勉強会 9月・10月活動報告

文責:松木貴弥(共生学系・共生の人間学)

活動日:9月18日、25日 10月4日、11日

9月18日より、クロード・レヴィ=ストロース『野生の思考』(1962)の読書会を開始しました。第一章「具体の科学」では、近代的社会とは異なる共同体の人々における抽象語の使用や、呪術と科学の相違点や、両者に通底する人間の思考体系(「秩序づけの要求」)などについて論じられており、読書会ではその議論の内容を検討しました。一段落ずつ音読し検討するという形式のため、細かい内容についてじっくりと議論することができ、「基礎勉強会」としての本プロジェクトらしい活動ができたと思います。
10月後半は都合により活動を行いませんでしたが、来月からは第一章の後半部に入り、有名な「ブリコラージュ」の議論が展開される箇所を読んでいきます。

マイクロアグレッション関連文献読書会 8月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日:8月24日
引き続き、デラルド・ウィン・スーの著作『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』の読書会をおこないました。今回は第9,10章の読書会をおこないました。
第9章で主にジェンダーとセクシュアリティに関する問題が扱われていました。スーは主に臨床心理学の観点から議論を組み立てていますが、その議論がフェミニスト理論とどのような点で重なるか、あるいは重ならないかについて議論しました。
第10章では企業組織におけるマイクロアグレッションが論じられています。「多様性の尊重」という言葉のもとでマイクロアグレッションが起こってしまうのはなぜなのか、いかにしてそれを防ぐことができるかについて、じっくり議論をおこないました。
9月は活動をおこないません。10月も引き続き『日常生活に埋め込まれたマイクロアグレッション』を読み進めます。

「ラカンと現代社会」研究会 8月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日:8月3、10、17、24、31日
8月の研究会では、ラカンのセミネール『精神分析の四基本概念』の第Ⅴ講を読み終えました。第Ⅴ講の最後では古代原子論に基づいて人間における偶然性の重要性が強調されていたのですが、研究会ではその議論の内実を検討しました。
また研究発表を2件おこないました。1つ目は日本のポピュラーカルチャーにおける精神分析的な理論の今日的意義を検討するもので、2つ目はドール文化を精神分析的な観点から分析するものでした。いずれもラカンの精神分析理論に基づいて現代の文化を検討するものであり、当研究会らしい議論ができたと思います。
9月は都合により活動をおこないませんが、10月からは『精神分析の四基本概念』の第Ⅵ講の読書会に入っていきます。「目と眼差し」や「対象a」といった有名な議論が出てくる箇所です。参加メンバーは哲学の実験グループの内外を問わず常時募集しておりますので、もしご関心がある方がいらっしゃれば、お気軽にご相談ください。

対話番組「Radio PiXOL テツガクシャの御用聞き」2023年8月活動報告

対話番組「Radio PiXOL テツガクシャの御用聞き」2023年8月活動報告

2023年8月10日(木)、Youtubeにて2023年度第4回(全体では第12回)放送を実施しました。今回は大学院入試スペシャルだったので、本番組のメインパーソナリティーである「のじにぃ」(野尻英一先生)と「ともちゃん」の二人に加えて、ゲストとして現役大学院生の「パンシー」さん、「かいさん」さん、「やってぃん」さん、「ピーちゃん」(運営スタッフ)にご出演いただきました。
放送では主に、ゲストのみなさまの体験談をもとに、哲学系の大学院についてどのように情報を集めたか、大学院を選ぶときの決め手になったこと、哲学系の院試で勉強したことなどについて語っていただきました。
以下は、ゲストのみなさまとのじにぃからいただいたご感想です。

【8月ゲスト・かいさん】
他の方の入試の勉強法は普段聞く事が無いので、興味深く楽しい時間でした。約1か月後の大学院入試に向けて、自分なりの勉強法を見つけて、計画的にがんばってほしいです。応援しています。

【8月ゲスト・やってぃん】
受験の際、ラカンの精神分析の勉強には向井雅明の『ラカン入門』、西洋哲学史の全体的な勉強には、熊野純彦の『西洋哲学史』(岩波新書)を使用しました。皆さんの研究関心にぴったりの研究室に巡り合えるとよいですね。他のゲストの皆さんの受験ハプニング集は衝撃でした。

【8月ゲスト・パンシー】
半ば自虐になってしまい恥ずかしい限りですが反面教師にしてもらえれば幸いです。勉強法はとにかく志望する研究室に訪問して院生に聞くのが一番です。スパルタっぽいですが、あとはもうひたすら勉強と研究あるのみです。学部のうちに頑張らないと院進してからがキツイです。

【8月ゲスト・ピーちゃん】
私自身の院試はかなり前のことだったのですが、今回お話しするなかで、院試での勉強が現在の研究にもつながっていると気づきました。視聴者のみなさんも、もし院試を受けることがあれば、将来の研究につながると思ってがんばってほしいと思います。

【のじにぃ】
現役大学院生の院試対策、志望している方にとって参考になる内容だったかと思います。私おすすめの参考書はヴィンデルバント『西洋哲学史』と樫山欽四郎『哲学概説』です。今回の内容は特別に保存して、公開予定です。院試に向けて頑張っている方たちの参考と励みになれば。

次回は、9月28日(木)21:00-22:00に配信します。ぜひご視聴ください。

報告:眞田航(哲学と質的研究)

マルクス主義的社会理論研究会 7月活動報告

丸山由晴(社会学系・比較文明学M2)

活動日:7/4, 7/11, 7/18, 7/25

先月から引き付き、マルクス『資本論』第一巻に取り組み、第9章「剰余価値率と剰余価値量」から第12章「分業とマニュファクチュア」の第3節まで読みました。

主として、生産力の向上によって生じる「相対的剰余価値」とそのための生産力の向上についての記述をみてきました。
マルクスの議論をテキストに即して確認しながら、現代においてマルクスの理論をどのように扱うかも頻繫に議論がなされました。参加者の一人から次のような指摘がありました。マルクスは資本が利潤を得る方向として無駄(空費など)の削減を志向しているものの、現代においてはかえって資本主義は無駄とされるもの——例えばラグジュアリーな商品のように——をも含んで、価値増殖、経済事象としてその運動が成立しているのではないか、と。
無駄が有用性に裏返るという論理は報告者にとって興味深い点であり、もちろんすぐにそのすべてを評価できるものではありませんが、来月以降には、参加者の関心に応じた研究発表も本会で行えたらと考えております。

対話番組「Radio PiXOL テツガクシャの御用聞き」2023年7月活動報告

対話番組「Radio PiXOL テツガクシャの御用聞き」2023年7月活動報告

 2023年7月20日(木)、Youtubeにて2023年度第3回(全体では第11回)放送を実施しました。本番組のメインパーソナリティーである「のじにぃ」(野尻英一先生)と「ともちゃん」の二人に加えて、ゲストとして「スーちゃん」さんにご出演いただきました。スーちゃんさんは、在野で哲学を勉強されている元小学校教員のかたです。
 放送では主に、社会人になってから哲学を勉強されるようになった経緯について語っていただきました。哲学を勉強するなかで、たくさんの仲間ができたというお話が印象的でした。
 以下は、スーちゃんさんとのじにぃからいただいたご感想です。

【7月ゲスト・スーちゃん】
自分のこれまでを振り返るいい機会となりました。新採で入った小学校で大先輩の婦人教師から言われた“30になったら自分の専門を一つ決めなさい”を、思想の場でですが、アーレントを読み続けていくんだと、69才になってやっと、この30の場に立てたのかなと思います。

【のじにぃ】
哲学を学ぶ社会人の人たちにご登場いただく第一回目、教育職に携わるスーちゃんにご出演いただいて、哲学との最初の出会い、教師や仲間との出会いを通した出会い直し、哲学を続けていくことの楽しさを、盛りだくさんお話しいただきました。楽しかったです。ありがとうございました!

 次回は、8月10日(木)21:00-22:00に配信します。ぜひご視聴ください。

報告:眞田航(哲学と質的研究)