美的近代研究プロジェクト 第五回読書会報告
文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
4月22日(金)
参加者10人
今回の研究会では、ジャン=リュック・ナンシー/フィリップ・ラクー=ラバルトの著書『ナチ神話』を読みました。今回は邦訳41ページ以降を主に扱いました。
次回はハンナ・アーレント『カント政治哲学講義』の前半部、第七講義までを主に検討します。次回は5月18日19時半(予定)からオンライン上にて行います。

美的近代研究プロジェクト 第五回読書会報告
文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
4月22日(金)
参加者10人
今回の研究会では、ジャン=リュック・ナンシー/フィリップ・ラクー=ラバルトの著書『ナチ神話』を読みました。今回は邦訳41ページ以降を主に扱いました。
次回はハンナ・アーレント『カント政治哲学講義』の前半部、第七講義までを主に検討します。次回は5月18日19時半(予定)からオンライン上にて行います。

ニューロダイバーシティをテーマにしたメタバース空間での祭典「自閉症学超会議!」を開催しました。
4月2日から9日まで8日間にわたり開催された大型メタバース・イベント「自閉症学超会議!」が、無事閉幕いたしました。
500名を超える参加者を得ることができ、社会実装の着実な成果をあげることができました。「これは成功ですね!」「本当に面白いです!」と多くの参加者の方に言っていただきました。多くのアクターにお力添えいただいたことで成功を導くことができました。
オープニングイベントは、池上英子氏(ニュースクール大学)による仮想空間と人類文明についての基調講演で幕を開けました。大隅典子(東北大学)、熊谷晋一郎(東京大学)、竹中均(早稲田大学)、高瀬堅吉(中央大学)、野尻英一(大阪大学)のコアメンバーをパネリストとし、片山泰一(大阪大学)を司会としたパネルディスカッションでは、当事者より寄せられた「お題」に、専門家たちが知恵を絞って応える姿が見られました。会期中にいつでも見られる常設展示コーナーでは、哲学、心理学、文化人類学、社会学、教育学、言語学、小児科学、アート、教育支援、就労支援、工学、生物学、当事者研究と多彩な専門分野からの展示が設置され、一般参加者からも好評でした。深夜に訪れて展示をゆっくり見ていく参加者の姿も見られました。
会期中、トークセッション(発達障害と教育にまつわる思いっきりトーク!、JIHEISHOU Caféなど)、アート展示会&即売会、書店(丸善雄松堂)、当事者会(自助会)、ワールドカフェなどの企画が催され、領域や地域を越えた接触と交流がありました。ジュンク堂書店・西宮店とのブックフェア・コラボも実現しました。
常設展示より選ばれる「第一回自閉症学超会議!最優秀展示賞」には、松本敏治「『自閉症は津軽弁を話さない』海外編」が選ばれ、最終日に授与式が催されました。
以上のように自閉症学超会議!は、昨今急速に話題になりつつあるメタバース(仮想空間)を活用し学術と社会との交流を促していく新たな試みとなりました。参加者から多くのよい反応を得ることができ、会場が閉じてしまうのが寂しい、ぜひ継続開催してほしい等の要望が出ていました。今後、関西地方の自助会によるハッタツエキスポとの連携も見込まれ、社会へのアウトリーチ活動として、未来につながる芽を育むことができました。
自閉症学超会議!プロジェクトは、三菱財団社会福祉事業・研究助成によるご支援をいただき、大阪大学未来共創センター・哲学の実験オープンラボ共催により実現いたしました。また運営業務の中心となりご尽力いただいた株式会社レイ・クリエーションのみなさまには、この場をお借りして御礼申し上げます。
出展の一覧については下記ホームページをご参照ください。
自閉症学超会議!ホームページ
http://csc.hus.osaka-u.ac.jp/jiheishougaku-chou-kaigi/







インターンシップ体験記(3)哲学の実験オープンラボⅹ株式会社レイ・クリエーション
文責:中山(社会学系・比較文明学)
3月 31 日(木),4 月 1 日(金)
参加者 1 名
今回のインターンシップでは、2 日間、株式会社レイ・クリエーションに訪問しました。株
式会社レイ・クリエーションは、哲学の実験グループのホームページや、4 月 2 日から 9 日
まで開催している自閉症学超会議!のマネジメント及び技術的サポートをしているデザイ
ン会社です。今回の訪問では、自閉症学超会議!の事前準備会議はもちろん、企業紹介動画
の撮影やクライアントとの依頼受注打ち合わせ、パンフレット納品、事業展開構想会議に同
席させていただき、仕事内容を拝見しながら社員さんとのお話の中で、自身のやりたいこと
や自身の性格をはっきり自覚させていく経験となりました。

美的近代研究プロジェクト 第四回読書会報告
2022年3月23日に実施された、哲学の実験オープンラボの公認プロジェクトの読書会です。以下は参加された学生の報告です。
文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
3月23日(水)
参加者10人 今回の研究会では、ジャン=リュック・ナンシー/フィリップ・ラクー=ラバルトの著書『ナチ神話』を読みました。今回は邦訳41ページまでを主に議論しました。主に1970、80年代の時代状況と全体主義論について議論されたほか、アーレントの全体主義論や哲学と政治の関係についての議論、ハイデガーとの関係などについても話が広がりました。
今回は前半部を主に検討して、本書の核となる議論は次に持ち越しました。次回は4月22日19時半(予定)からオンライン上にて行います。扱う文献は、ジャン=リュック・ナンシー/ラクー=ラバルト『ナチ神話』(42頁以降)です。

精神分析と哲学の悩ましい関係パネルディスカッション
3月13日(日)「精神分析と哲学の悩ましい関係」パネルディスカッションが開催されました。東京精神分析サークル/哲学の実験オープンラボ(大阪大学未来共創センター)/早稲田大学大学院文学研究科表象・メディア論コースの共同主催でした。申込者数146名、当日参加者125名と盛況でした。
司会は高橋一行(明治大学)、パネリストは片岡一竹(早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程)「『饗宴』における三人のソクラテス――ラカンの反哲学の一例として」(当日に発表タイトル変更)、野尻英一(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)「哲学はいかに精神分析を必要とするか」、辰己一輝(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程)「隠喩としての自閉症────構想力の〈盗用〉をめぐる試論」、指定コメンテーターは原和之(東京大学大学院・総合文化研究科教授)、向井雅明(精神分析相談室)でした。
哲学、精神分析、思想史、障害学、当事者研究、和解学と分野を越境した学術活動に関わるアクティヴな論客が集い、哲学と精神分析の現代における実践のあり方をめぐりながら理論、思想史の問題も論じる水準の高い議論がかわされました。フロアからも活発な質問や意見が出て、予定時間を越え五時間以上にわたる有意義な内容のパネルディスカッションとなりました。


町工場 BOOT CAMPフォーラム デザイン経営を実践する ものづくり企業社長とディスカッション
3月5日(土)「町工場 BOOT CAMPフォーラム デザイン経営を実践する ものづくり企業社長とディスカッション」が開催されました。告知が直前となってしまった事情もあり、学生の参加者は10名ほどと少数でしたが、起業を目指す学生とものづくり企業の社長たちと活発な議論が行われました。海外からの留学生が大きな関心を持って参加していたことが印象的でした。大学教員と社長たちのあいだでも熱の入ったやり取りがあり、産学連携のつながりが広がる機会となりました。野尻は個人的に、日本の中小企業再編論に関心を持っており、今後、KSAC(京阪神スタートアップ アカデミア・コアリション)や大阪ケイオスの活動をフォローするつもりです。


美的近代研究プロジェクト 第三回読書会報告
2022年2月15日に実施された、哲学の実験オープンラボの公認プロジェクトの読書会です。以下は参加された学生の報告です。
文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
2月15日(火)
参加者16人
今回の研究会では、神戸大学准教授の石田圭子さんをお呼びして、「ファシズムと崇
高」というタイトルでお話しいただいた。石田さんは『美学から政治へ モダニズムの詩―
人とファシズム』(慶應義塾大学出版会、2013年)など、近代における政治と芸術の関
係を研究しており、またボリス・グロイス『アート・パワー』(現代企画室、2017年)
の翻訳をはじめ現代の芸術政治に関しても造詣が深いことから、本研究会での講演を依頼
した。特に石田さんが現在実施している「ファシズムにおける『崇高』の美学と政治の関
係をめぐる批判的考察」という科研費プロジェクトの成果の一部について講演いただいた。
講演の内容は特に崇高の美学とファシズムの関係についてのものだった。いわゆる「政
治の美学化」が「美」であるのか、「崇高」であるのかという点から、現代における崇高
のあり方の変化などが取り上げられ、崇高はファシズムに対する抵抗となりうるとともに、
逆にファシズムの神話に転化されうるという両義性があるものだという議論がされた。石
田さんは多くの重要な論点や議論を提起しており、質疑応答も盛んになされるなど、研究
会の議論への刺激となった。
次回は3月23日19時(予定)からオンライン上にて行います。扱う文献は、ジャン=
リュック・ナンシー/ラクー・ラバルト『ナチ神話』です。今回の講演の内容をもとに、議
論を発展させていくつもりです。

美的近代研究プロジェクト 第二回読書会報告
2022年1月30日に実施された、哲学の実験オープンラボの公認プロジェクトの読書会です。以下は参加された学生の報告です。
文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
1月30日(日)
美的近代研究会メンバー8人参加
今回は、ユルゲン・ハーバーマス『近代未完のプロジェクト』に所収されている「近代未完のプロジェクト」という講演録を読みました。この講演録は、アドルノ賞受賞記念講演であり、アドルノのモデルネ論を引き継ぎつつも、「モデルネというプロジェクト」を「止揚のプログラム」ではなく「啓蒙のプログラム」として擁護しようとするハーバーマスの立場を確認しました。同時代の議論に対するハーバーマスの批判やカント読解、文化的伝統の意義付けなど、様々に議論を行いました。
次回は、2月15日19時から、神戸大学准教授の石田圭子さんをお呼びして、「ファシズムと崇高」というタイトルでお話しいただく予定です。

〈新しい資本主義〉の彼方へ〜ポストン『時間・労働・支配』増刷記念シンポジウム
1/10(月)「〈新しい資本主義〉の彼方へ〜ポストン『時間・労働・支配』増刷記念シンポジウム」をZoomウェビナーにて開催いたしました。哲学の実験オープンラボ主催、筑摩書房協賛でした。事前の参加申込者は104名と盛況でした。当日の参加者は50名ほど、これは直前のリマインド等の工夫が必要だったかも知れません。
パネリストは、梅森直之(早稲田大学)、栗原康(東北芸術工科大学)、白井聡(京都精華大学)、野尻英一(大阪大学)、司会は松坂裕晃(大阪経済大学)。ポストン理論の経済理論としての評価、日本の失われた30年、ナショナリズムとアナーキズムなど、議論が活発に行われました。
また急きょ、米国ウィスコンシン大学よりヴィレン・ムーティ教授(ポストンの弟子の一人)に登場いただき、モイシェ・ポストンの抽象的時間の支配論とハリー・ハルトゥーニアン(『近代による超克』)の多様な時間性論の比較について、重厚なコメントがありました。
フロアからは若い世代からの質問も出て、良いやり取りができました。こうしたウェビナーのオープンイベントの開催は、野尻としては初めてでした。コツが掴めましたので、今後はもっとうまくいきそうです。



美的近代研究プロジェクト 第一回読書会報告
2021年12月12日に実施された、哲学の実験オープンラボの公認プロジェクトの読書会です。以下は参加された学生の報告です。
文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
12月12日(日)
美的近代研究会メンバー8人参加
この研究プロジェクトは、大阪大学内外からの参加者と共同で美的近代の問題系についての文献を読んだり、研究発表を行っていきます。特にシラーの提唱した「美的革命」を一つのテーマとして取り上げつつ、独・仏・英語圏でのその思想的影響に着目した研究を進めます。今後は、講師を呼んで公開での研究会を開催したり、学会等でのワークショップを企画する予定です。
この研究プロジェクトが正式に発足する以前の9月から、すでにメンバーに声をかけて準備を始めており、フランスの哲学者アラン・バディウ(1937-)の論考「詩人たちの時代」についての発表や同じくフランスの哲学者ジャック・ランシエール(1940-)の著作『感性的なもののパルタージュ』(2000)の読書会を行ってきました。その流れで、今回はジャン・フランソワ・リオタール(1924-1998)の著作『非人間的なもの』(1988)所収の「崇高と前衛」について議論しました。この論考は、「自然の模倣」という西欧の伝統的な芸術観が変容した後に表象不可能なものの否定的な現前を問題化したという点で、アヴァンギャルド芸術の淵源をカントやバークの崇高論に見出しており、思想・哲学にとってだけでなく、現代芸術の文脈においても極めて重要なものです。
読書会では、リオタールの崇高概念の内実、彼が強調する時間性・歴史性、リオタールのユダヤ教的時間意識、ハイデガーの出来事論との関係、アドルノ美学との関連、カント『判断力批判』における崇高論と共通感覚論との関係、崇高の美学の政治的論争性などが話題に上りました。リオタールにとって崇高は、近代性を特徴づける芸術的感受性の様式です。つまり、近代における美的な感受性は、「告げられつつ欠如する」未決定なものに対する感情を特徴としているというのです。リオタールにとって崇高の美学が問題にするのは、こうした表象不可能なものの否定的な現前です。ただし、リオタールにとっての崇高のイメージは、単に膨大であったり、壮大であったりするものではなく、むしろ微細で極限まで切り詰められたものにあります。極限まで窮乏した表象の中に、表象できない否定的なものが宿っているということです。さらに、リオタールは、「民族」「総統」「ジークフリート」の到来に期待することで、その否定的な現前を神話的な主体形象へと転換させることへ注意を促し、むしろ「今」という瞬間に留まり、否定的な現前の証人となり、それを待ちわびることを提起します。
今回の読書会では、リオタールの崇高論を通じて現代フランス思想における「美的モデルネ」解釈の一類型を把握することができました。次回は1月30日19時からオンライン上にて行います。扱う文献は、ユルゲン・ハーバーマス『近代未完のプロジェクト』に所収されている「近代未完のプロジェクト」という講演録です。ハーバーマスによる美的モデルネ批判について議論をします。
