大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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第23回ジジェク研究会

日時:2025年6月21日(土) 13:00〜17:00
 場所:Zoom(オンライン)
 参加人数:18名
プログラム:
1. ジジェク研究会:”コジェーヴの「ヘーゲルとフロイト」からセミネール第14巻、第15巻へ”【発表者|信友建志】
2. ジジェク研究会:”日本的国民主義のイデオロギーの図化の試み”【発表者|ドリンシェク・サショ】

 6月のジジェク研究会では、研究発表を二件行った。
第一発表の信友発表では、近年公表されたコジェーヴのデカルト論を分析対象とし、コジェーヴのデカルト解釈とラカンのデカルト解釈の比較を行うことで、セミネール14巻および15巻におけるラカンの議論の内にコジェーヴの影響があることが指摘された。
信友は、コジェーヴがヘーゲルに言及しつつ〈哲学者の欲望〉という概念を提示していることに注目し、哲学者の欲望における〈存在のディスクール〉と〈思惟のディスクール〉の交錯が哲学を駆動しているというコジェーヴの議論が、ラカンのディスクール論における分析家の欲望に先行し影響を与えた議論として位置づけられると主張した。
議論では、コジェーヴのヘーゲル解釈としての妥当性や独自性にも言及されつつ、ラカンとヘーゲルのミッシング・リンクを議論するためにはコジェーヴの位置づけが重要であることが、改めて確認された。
第二発表のドリンシェク発表では、ジジェクの〈盗まれた享楽〉概念が援用され、日本文化がイデオロギーとして分析されうることが示された。
ドリンシェクは、「日本文化」が実体のない曖昧な概念である一方で、「日本文化論」という名前において展開される議論において、しばしば日本という国家の統一性を説明するための概念として用いられることを指摘した。ドリンシェクによれば、こうした統一性は、共同体の内に絶対的に存在する矛盾や対立を隠すことによって成立する。そのうえ、そうした矛盾を明らかにしようとする存在は恐怖の対象として排除されることになる。
結論においては、こうした構造は権力機構による享楽の統制によってもたらされるため、より開放的なしかたで享楽を考えることが、現在の課題を解決するうえで重要であると述べられた。
議論や実施内容の詳細は添付資料を参照のこと。

※科学研究費基盤B(23H00573)「スラヴォイ・ジジェク思想基盤の解明:ヘーゲル、ラカン解釈を中心に」研究代表者・野尻英一
文責|客本敦成(比較文明学)