大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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「シンポジウム 生活の思想」活動報告

文責:織田和明(情報科学研究科 特任助教)
活動日:2025年3月20日(木・祝)
場所:大阪大学中之島センターセミナー室6D+オンライン
登壇者:
織田 和明(大阪大学/哲学/企画者)
磯島 浩貴(大阪大学/哲学)
平石 知久(甲南大学/日本思想史)
井上 瞳 (広島大学/哲学・ジェンダー・人類学)
共催:
大阪大学社会技術共創研究センター2024年度ELSI共創プロジェクト:生活に根差した技術と芸術の研究:日本哲学の立場から
大阪大学2024年度グローバル日本学教育研究拠点「拠点形成プロジェクト」:三木学の国際拠点形成――哲学的人間学の可能性、人類学と組合主義の交錯と広がり
大阪大学大学院人間科学研究科附属未来共創センター IMPACTオープンプロジェクト 哲学の実験オープンラボ
イベント参加人数:34人

2025年3月20日(木・祝)に大阪大学中之島センターとオンラインのハイブリッドでシンポジウム 生活の思想を開催しました。本シンポジウムでは様々な分野で活躍する若手研究者たちが戦前から現代までの日本における生活の思想を見つめ、そして新しい生活の思想への道を探りました。
まず企画者である織田和明が「生活の思想に向かって:今ここで生きていることを語るために」のタイトルで1930年代の困難な時代に新聞『土曜日』で生活の重要性を説き続けた思想家・中井正一を論じ、今ここで生きていることを仲間と共に語るための営みとして、生活の思想を提唱しました。
続いて磯島浩貴さんが「生活の思想としての〈世相〉:柳田國男の食物論から」のタイトルで民俗学者・柳田國男の『明治大正史 世相篇』を取り上げて、当時の日本に生きる人々の世相の分生を通じて生活を論じる柳田民俗学を評価しました。
平石知久さんは「丸山眞男・藤原弘達・安丸良夫における「生活」の位置づけ:政治的次元と「台所」、「茶の間」、「イエ」との関連を手掛かりに」のタイトルで戦後日本を代表する政治学者・丸山眞男、政治評論家・藤原弘達、そして民衆思想研究者・安丸良夫を比較しながら政治と生活をめぐる戦後日本の大衆の政治思想史を論じました。
井上瞳さんは「現象学する経験のフィールドワーク――生、線描、疑問符」のタイトルで現象学や人類学の議論を往還しながら自身のフィールドでの経験を考察し、現象学的質的研究、そして哲学という営みの根源を論じました。
質疑応答、そして全体討議では登壇者、そして現地、オンラインの参加者の間で生活の思想をめぐって大いに議論が交わされました。今回のシンポジウムを通じて「生活の思想」の大きな可能性を示すことができました。今後も「生活の思想」を軸とすることで学際的に地に足のついた哲学・思想を展開することができると確信しています。
当日は現地、オンライン合わせて34人もの方にご参加いただきました。みなさまのご協力に心より感謝申し上げます。