大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
Twitter

Radio PiXOL 第1回放送

6月9日(木)21:00-22:00
視聴者35名程度
YouTube登録者19名
大阪大学未来共創センター「哲学の実験オープンラボ」は、実験的ネットラジオ放送局 Radio PiXOL(レィディオ・ピクソル)を開設します。番組「テツガクシャの御用聞き」としてスタート。2022年度は<テツガクと私>編。
第1回目は、本放送の広報も担当してくれているチームメンバーの「ぴーちゃん」をお迎えし、のじにぃとともちゃんで「哲学とのかかわり」、「哲学にどんな興味を持っているか」、「哲学研究のやり方」などをテーマに対話を行った。

【6月ゲスト・ぴーちゃん・感想】
のじにぃさんとともちゃんさんのおかげで、とてもたのしくお話することができました。
哲学書を読むときのペースや意識づけなど、研究の裏話的な話ができたと思います。少しでも、哲学研究をすることについて、具体的なイメージをもってもらえていればうれしいです。

【6月・のじにぃの感想】
哲学対話の手法は、ふだんの転移関係を少しずらす(良い意味での)効果があるかも。相手も自分も知らなかった話が出てくる。哲学書は人間の生み出してしまった〈自然〉のようなところがある、と私が言ったこと、ぴーちゃんとの対話で初めて出てきました。ありがとう。

「ヘーゲルと精神分析」シンポジウムを開催しました

6月11日(土)ラボ公式イベント「ヘーゲルと精神分析」シンポジウム(日本ヘーゲル学会共催)が開催されました。創価大学会場&Zoomのハイフレックス方式で開催されました。対面会場は、爽やかな初夏の気候の中、緑多い創価大学のキャンパスで行われました。一般参加申込者は160名超(日本ヘーゲル学会会員を除く)、当日Zoom参加者は最大時80名以上とたいへん盛況でした。多くのご参加をいただき誠にありがとうございました。
今回のシンポジウムは日本ヘーゲル学会と大阪大学未来共創センターとの連携により行われ、若手研究者を中心に学会外の研究者もお呼びして、広い視野からフロイト、ラカンらの精神分析とヘーゲル哲学との関係を考え、ヘーゲル哲学のアクチュアリティを問う機会となりました。
シンポジウムでは、最初に司会の野尻英一がプレゼンテーション「ヘーゲルと精神病理学/精神分析」を行い、本シンポジウムの基調をなす観点を提示しました。
次に提題1として、ヘーゲルの心理学や精神病理についての知見が含まれる「精神哲学」研究を専門とする池松辰男氏(島根大学)に「ヘーゲルにおける主体と言語—ラカン・デリダとの接点をめぐって 」をご発表いただきました。今日的観点からみてヘーゲル哲学のなかにフロイトやラカンの精神分析の視点とつながる部分があるかどうかをヘーゲル研究の立場から論じていただきました。特に『精神現象学』における言語の特異な働きが論点となりました。
提題2として、ラカン研究を専門とされ、精神分析の実践経験もあり、初期「超自我」概念を中心とするフロイト研究にも取り組んでいる片岡一竹氏(新ソルボンヌ大学)に「ラカンにとってヘーゲルとは何だったのか 《他者》としての言語と分裂としての人間」をご発表いただきました。ラカンとヘーゲル哲学との関係を論じていただきました。イポリットを経由して、コジェーヴ人間学に吸収されない、存在としての言語へと接近するヘーゲルおよびラカンの姿が浮き彫りとなりました。
提題3として、デリダ研究を専門とされ、特に初期デリダにおけるヘーゲル、フロイト、現象学の位置づけについて研究実績がある小川歩人氏(大阪大学)に「去勢のシミュラークルあるいは一般化されたフェティシズム‒ ‒‒‒デリダによるヘーゲル哲学と精神分析への関心について‒‒‒‒ 」をご発表いただきました。フロイトとヘーゲルの両者を現代的な視点から読み語るデリダの視点から「アフリカ」というキーワードを経由して、ヘーゲルにおける構想力/否定性の別の可能性を論じていただきました。
三者の発表から浮かび上がってきたのは、いわば〈精神病理学者〉として発生論/発達論の観点から精神の一般的構造を論じるヘーゲルと、またいわば〈精神分析家〉として対話による意識形態の動態的な変容を論じるヘーゲルと、二人のヘーゲルがいる事態でした。『精神現象学』と「エンチュクロペディー」体系とあいだに根本的な方法のちがいによる断絶が横たわるのではないかという指摘はヘーゲル研究においてもなされてきましたが、それが20世紀以降の精神分析の視点から、別の角度から照射されて浮かび上がってきました。
また今回、パネリスト間で調整したわけでもなく、ヘーゲル哲学のフランスへの紹介者であるジャン・イポリットのヘーゲル解釈(『論理と実存』『ヘーゲル精神現象学の生成と構造』)の重要性が共有され、さらには日本へーゲル学会会員からも同様の問題関心のあることが提示され、意見交換が活発に行われたことは大きな成果でした。

第3回「ラカンと現代社会」研究会報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)

5月26日(木)
参加者4人
今回の研究会では、ブルース・フィンクの著書『「エクリ」を読む』の第2章前半部を読みました。フィンクによると、ラカンによるフロイトの第一局所論と第二局所論の読解は独創的なのですが、その意味するところがよく分からなかったので、参加者でゆっくり議論しました。
またメンバーの藤井康子さんに、アメリカの非ラカン派の精神分析家、ナンシー・マックウィリアムズについての報告をして頂きました。ラカン派であるフィンクと比較しながら議論しました。
次回も引き続き、『「エクリ」を読む』の第2章後半部を読み進めます。次回は6月2日15時10分から、対面とオンラインのハイブリッドで行います。

第2回「ラカンと現代社会」研究会報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
5月19日(木)
参加者4人
今回の研究会では、ブルース・フィンクの著書『「エクリ」を読む』の第1章後半部を読みました。ラカンによる強迫症の症例の理解が難しく、色々な解釈を加えながら読み進めていきました。
また、メンバーの藤井康子さんに「分析家の「謎めいた欲望/enigmatic desire」(あるいは分析家の欲望)が精神分析において果たす役割について」という報告をして頂きました。こちらも<他者>についての重要な論点を扱っており、議論が様々になされました。
次回も引き続き、『「エクリ」を読む』の第2章前半部を読み進めます。次回は5月26日15時10分から、対面とオンラインのハイブリッドで行います。

ネットラジオ放送、始めました。Radio PiXOL 第0回パイロット放送。

大阪大学未来共創センター「哲学の実験オープンラボ」は、実験的ネットラジオ放送局 Radio PiXOL(レィディオ・ピクソル)を開設します。番組「テツガクシャの御用聞き」としてスタート。2022年度は<テツガクと私>編。5/12にパイロット放送を行いました。
【第0回パイロット放送内容】
●Radio PiXOLでこれからやりたいこと
その人と哲学とのかかわり、哲学にどんな興味を持っているか、哲学に期待すること、などをテーマにしていく。哲学を学びたい中高生や社会人の参考になれば。2021年度<テツガクと私>編では、哲学を実際にやっている人をゲストに「どうしてテツガクをやることになったのか、テツガクをやってどんな人生になったか?」などを対話してみる。
●メインキャストとファシリテーターの自己紹介
メインキャスト「野尻センセイ」=専門はドイツ近代哲学(ヘーゲル、観念論)。最近は社会理論・精神分析・表象文化論に手を広げている。サブカルチャーを超真面目に論じたり、発達障害も哲学的に扱う。
ファシリテーター「ともちゃん」=専門は経営学。大学院の「社会理論特講」授業でセンセイと知り合う。元エンジニアで現在は経営デザインの領域で対話に関する研究を行う。修士1年時より「哲学対話」の実践を続けている。
●高校生にも聞いてもらいたい
日本の高校までの教育では「哲学」はないので、高校生にとって「大学」や「哲学」はよく分からないものとなっている。それが分かるようにしたい。
●一般人にとって哲学は何かむずかしい話?
そもそも哲学は「対話」だった。ソクラテスの対話をプラトンが書き残したおかげで残ったけど、書物になってしまった。書物を読むかたちでの哲学の訓練も大事。対話を通して生きていくなかでの経験と哲学の書物の中身を結びつけることもできる。それが哲学研究室で起こっていること。
●野尻センセイのあだ名決め
哲学対話のルールは、あだ名で呼び合うこと。野尻センセイのあだ名は「のじにい」に決定。次回は、6月9日(木)21:00〜。
お見逃しなく!
放送についての最新情報はRadio PiXOL Twitterで。
https://twitter.com/radiopixol

美的近代研究プロジェクト 第六回読書会報告

文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)

5月18日(水)

参加者8人

今回の研究会では、ハンナ・アーレント『カント政治哲学講義』の前半部、第7講義までを読みました。アーレントのカント読解のユニークさと面白さが感じ取られ、議論が盛り上がりました。

次回はハンナ・アーレント『カント政治哲学講義』の後半部、第8講義以降を検討します。次回は6月29日19時半(予定)からオンライン上にて行います。

第1回「ラカンと現代社会」研究会報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)

4月28日(木)

参加者4人

今回の研究会では、ブルース・フィンクの著書『「エクリ」を読む』の第1章前半部を読みました。「転移」と「<他者>」をキーワードに、ラカン派の臨床実践における「想像的なもの」と「象徴的なもの」の区別が論じられています。特定のパーソナリティをもたない「<他者>」とは何者なのかを巡って、参加者の間で議論がなされました。

次回も引き続き、『「エクリ」を読む』の第1章後半部を読み進めます。次回は5月12日15時10分から、対面とオンラインのハイブリッドで行います。

美的近代研究プロジェクト 第五回読書会報告

文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)

4月22日(金)

参加者10人

今回の研究会では、ジャン=リュック・ナンシー/フィリップ・ラクー=ラバルトの著書『ナチ神話』を読みました。今回は邦訳41ページ以降を主に扱いました。

次回はハンナ・アーレント『カント政治哲学講義』の前半部、第七講義までを主に検討します。次回は5月18日19時半(予定)からオンライン上にて行います。

ニューロダイバーシティをテーマにしたメタバース空間での祭典「自閉症学超会議!」を開催しました。

4月2日から9日まで8日間にわたり開催された大型メタバース・イベント「自閉症学超会議!」が、無事閉幕いたしました。

500名を超える参加者を得ることができ、社会実装の着実な成果をあげることができました。「これは成功ですね!」「本当に面白いです!」と多くの参加者の方に言っていただきました。多くのアクターにお力添えいただいたことで成功を導くことができました。

オープニングイベントは、池上英子氏(ニュースクール大学)による仮想空間と人類文明についての基調講演で幕を開けました。大隅典子(東北大学)、熊谷晋一郎(東京大学)、竹中均(早稲田大学)、高瀬堅吉(中央大学)、野尻英一(大阪大学)のコアメンバーをパネリストとし、片山泰一(大阪大学)を司会としたパネルディスカッションでは、当事者より寄せられた「お題」に、専門家たちが知恵を絞って応える姿が見られました。会期中にいつでも見られる常設展示コーナーでは、哲学、心理学、文化人類学、社会学、教育学、言語学、小児科学、アート、教育支援、就労支援、工学、生物学、当事者研究と多彩な専門分野からの展示が設置され、一般参加者からも好評でした。深夜に訪れて展示をゆっくり見ていく参加者の姿も見られました。

会期中、トークセッション(発達障害と教育にまつわる思いっきりトーク!、JIHEISHOU Caféなど)、アート展示会&即売会、書店(丸善雄松堂)、当事者会(自助会)、ワールドカフェなどの企画が催され、領域や地域を越えた接触と交流がありました。ジュンク堂書店・西宮店とのブックフェア・コラボも実現しました。

常設展示より選ばれる「第一回自閉症学超会議!最優秀展示賞」には、松本敏治「『自閉症は津軽弁を話さない』海外編」が選ばれ、最終日に授与式が催されました。

以上のように自閉症学超会議!は、昨今急速に話題になりつつあるメタバース(仮想空間)を活用し学術と社会との交流を促していく新たな試みとなりました。参加者から多くのよい反応を得ることができ、会場が閉じてしまうのが寂しい、ぜひ継続開催してほしい等の要望が出ていました。今後、関西地方の自助会によるハッタツエキスポとの連携も見込まれ、社会へのアウトリーチ活動として、未来につながる芽を育むことができました。

自閉症学超会議!プロジェクトは、三菱財団社会福祉事業・研究助成によるご支援をいただき、大阪大学未来共創センター・哲学の実験オープンラボ共催により実現いたしました。また運営業務の中心となりご尽力いただいた株式会社レイ・クリエーションのみなさまには、この場をお借りして御礼申し上げます。

出展の一覧については下記ホームページをご参照ください。

自閉症学超会議!ホームページ

http://csc.hus.osaka-u.ac.jp/jiheishougaku-chou-kaigi/

インターンシップ体験記(3)哲学の実験オープンラボⅹ株式会社レイ・クリエーション

インターンシップ活動報告

文責:中山(社会学系・比較文明学)
3月 31 日(木),4 月 1 日(金)
参加者 1 名


今回のインターンシップでは、2 日間、株式会社レイ・クリエーションに訪問しました。株
式会社レイ・クリエーションは、哲学の実験グループのホームページや、4 月 2 日から 9 日
まで開催している自閉症学超会議!のマネジメント及び技術的サポートをしているデザイ
ン会社です。今回の訪問では、自閉症学超会議!の事前準備会議はもちろん、企業紹介動画
の撮影やクライアントとの依頼受注打ち合わせ、パンフレット納品、事業展開構想会議に同
席させていただき、仕事内容を拝見しながら社員さんとのお話の中で、自身のやりたいこと
や自身の性格をはっきり自覚させていく経験となりました。