大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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マイクロアグレッション関連文献読書会 2月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)

活動日:2月29日

 今月から、ロビン・ディアンジェロの『ホワイト・フラジリティ 私たちはなぜレイシズムに向き合えないのか?』(日本語訳は明石書店)の読書会を開始し、第一章までの範囲を読みました。ディアンジェロのこの著作はマイクロアグレッションを主題としたものではないですが、レイシズムの現実が白人において受け入れられないものであるということを論じている点において、意図されずおこなわれる差別としてのマイクロアグレッションと重なるところがあります。読書会では、日本における事例と比較しながら、マジョリティと差別意識の関係について議論しました。
 3月も引き続き、『ホワイト・フラジリティ』を読み進めていきます。

美的近代研究会 2023年度の活動

昨年度から引き続いて活動を継続してきました。今年度は、読書会だけではなく、研究会の参加者らが自身の研究内容について話す機会を作り、各自の研究の発展を後押しするよう努めて活動してきました。本年度の活動は、以下の通りです。

2023年
4月21日 アレクサンドル・クルーゲ、オスカー・ネークト『公共圏と経験』(Alexander Kluge, Oskar Negt, Öffentlichkeit und Erfahrung, 1973)
5月24日 マイケル・フリード「芸術と客体性」(Michael Fried, Art and Objecthood, 1967)
6月28日 ジャン=リュック・ナンシー「途絶した神話」(Jean-Luc Nancy, Le mythe interrompu;『無意の共同体』所収)
9月17日 茶圓彩さん(京都大学)の発表:マイケル・フリードについて
11月2日 客本敦成さん(大阪大学)の発表:フレデリック・ジェイムソンについて
2024年
1月18日 井奥陽子『近代美学入門』(2023年)
2月15日 井奥陽子『近代美学入門』(2023年)
3月10日 安藤有史さん(立教大学)の発表:暴動とその表象について

読書会、発表に加えて、書籍出版のかたちで本研究会の成果を発表するべく会議を行いました。出版状況、出版を企画するにあたって必要な手続きや留意すべきことなど、今後の活動にいかすべき知見を得ることができました。
こうした活動を通して、大学院生、ポスドクなどの若手研究者がネットワークを作り、情報交換をしながら、協力して成果を発表できるよう努めています。

「ラカンと現代社会」研究会 2月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日:2月14、28日
 2月の研究会では、ラカンのセミネール『精神分析の四基本概念』の第Ⅵ講の第3節を読み進めました。ラカンの「眼差し」や「しみ」の概念は有名ですが、ラカンがこれらの概念を、狭義の視覚論に留まらず、ナルシシズム批判や哲学批判として展開していることの意義について議論されました。またこの議論がフロイトの『夢解釈』の解釈から展開されていることも改めて確認されました。
 3月も引き続き『精神分析の四基本概念』を読み進めます。

人類学基礎勉強会 2月活動報告

文責:松木貴弥(共生学系・共生の人間学)

活動日:2月14日、21日

 今月前半は、古谷嘉章「私の野蛮人――レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』調査」太田好信、浜本満編『メイキング文化人類学』世界思想社、2005年、pp. 161-187、出口顕「構造主義の現代的意義」桑山敬己、綾部真雄編著『詳論 文化人類学』ミネルヴァ書房、2018年、pp. 149-164を読みました。『野生の思考』の内容を踏まえ、レヴィ=ストロースの議論について、理解をより深めることができました。

 後半からは、レヴィ=ストロース以前の人類学について学ぶことを目的に、マリノフスキー『未開社会における犯罪と慣習』(1926)を読み始めました。近代社会とは異なる共同体における慣習や、それを遵守する現地の人々のあり方について、内容に即して活発な議論を行うことができました。

 3月も引き続きマリノフスキー『未開社会における犯罪と慣習』を読み進めていきます。

ポスト・トゥルースとアグノトロジー(無知学)

文責:香川祐葵(共生学系・共生の人間学)
活動日:2024年2月10日
イベント参加人数:約10名

大阪大学人間科学研究科棟 東館2階207講義室にて、美馬達哉先生による講演会を開催しました。約1時間程度のご講演の後、会場からの質問を受けての質疑応答が行われました。
美馬先生のご講演では、まず、“無知を構築として捉える視点”にたつ研究領域である「アグノトロジー(無知学)」の概要をご説明いただき、つぎに、そのアグノトロジーの観点から「COVID-19否定論」についてご解説いただきました。さらに、そうした文脈から、“社会的な真実の正誤は、感情に訴えるものかどうかで判定され、主観的な信念と相関する”と考える研究領域である「ポスト・トゥルース」の見方についてもご提言頂きました。

主催:「今日の思想状況としてのポスト・トゥルース研究とその批判的応答」(2023年度大阪大学学際融合を推進し社会実装を担う次世代挑戦的研究者育成プロジェクト共同研究採択)
共催:未来共創センター(哲学の実験OPEN-LAB、Project IMPACT)
講演:美馬達哉(立命館大学 教授)
司会:眞田航(大阪大学 人間科学研究科 博士後期課程3年)