大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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インターンシップ体験記(4)哲学の実験オープンラボⅹ株式会社レイ・クリエーション

末次 友樹
インターンシップ先:株式会社レイ・クリエーション様(https://www.raycreation.co.jp/
活動日:2023年2月20~22,24日

二月の上記期間に株式会社レイ・クリエーション様にてインターンシップ活動をさせていただいた。

レイ・クリエーションは、主にエネルギー分野や工業分野をメインにしたデザイン事業をされている。私は、取引先企業様との営業関係の打ち合わせに多く同行させていただき、またコンテンツの制作にも関わらせていただいた。

特に印象的なこととして、制作するコンテンツの内容について深く理解しようという姿勢がある。先方のアイディアを読み取ってうまく形にするだけでなく、細かい内容までしっかり把握することで、こちらからもより良いアイディアを提案できる、という姿勢に感銘を受けた。

他にも上記の内容にも繋がるが、取引をする分野が幅広いため毎回様々なことを学ぶことができる、という話も印象的だ。例えば、ある企業の研修動画を作成するとなれば、その研修内容を自分も学ぶことになる、そういった意味での「学び」が多いというある社員の方はおっしゃっていた。私は人間科学(部)にもそういった点があるのではないかと感じた。もちろん「人間」という対象を様々な分野の知見から考えることとベクトルは反対だが、重要な共通点ではないかと思う。

最後に、今回私どもインターンシップ生を受け入れてくださった社員の皆さま、また打ち合わせや撮影などに私どもの同席の許可を出してくださった取引先企業の皆さま、本当にありがとうございました。

美的近代研究プロジェクト第14回読書会報告

文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)
3月16日(木)19:00~
参加者11人

今回の研究会では、東京大学の竹峰義和教授をお呼びして、「ジークフリート・クラカウアーの美学と政治をめぐって」という講演をしていただきました。竹峰教授は昨年末にクラカウアー『映画の理論―物理的現実の救済』(東京大学出版・2022年)を翻訳・出版されていますが、今回はこの著作を含めてクラカウアーの著作をまたいでお話しいただきました。講演では、クラカウアーの特徴が主題やジャンルの越境性やモダニズムを高級芸術に限定せず、近代の感覚や経験の新しい組織化として大衆の感覚経験の変容を跡付ける見方として特徴づけられ、「ヴァナキュラー・モダニズム」や「点状化・アトム化」、「大衆の装飾」などをキーワードとなりました。
加えて、イズムに典型であるような理念に対する懐疑から、クラカウアーが推奨した「待つ」という姿勢にも重要な論点として提起されました。『映画の理論』については、クラカウアーが構成主義に対してリアリズムを評価していたこと、映画を写真の延長だと見なし、「物理的現実を記録し開示する」という映画観なども、今としてはむしろ興味深い議論でした。
質疑応答も盛り上がり、実り多い研究会となりました。

次回は、4月21日19:00から、アレクサンダー・クルーゲとオスカー・ネークト(原書Öffentlichkeit und Erfahrung – Zur Organisationsanalyse von bürgerlicher und proletarischer Öffentlichkeit (1972).英訳:Public Sphere and Experience: Analysis of the Bourgeois and Proletarian Public)の一部抜粋を読みます。

美的近代研究プロジェクト第13回読書会報告

文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)

3月1日(水)19:00~
参加者8人

今回の研究会では、ジークフリート・クラカウアー『カリガリからヒトラーへ—ドイツ映画1918-1933における集団心理の構造分析』(1947: 1970)に所収されている補遺「プロパガンダとナチの戦争映画」を読みました。クラカウアーは、ベンヤミンやアドルノらフランクフルト学派とも関係深く、これまでアドルノ・ホルクハイマーを読んできた延長線上で扱いました。ナチのプロパガンダ映画における手法の分析から、「リアル」をめぐるクラカウアーの態度まで、盛んな議論がなされました。
次回は、3月16日19:00から、東京大学の竹峰義和教授をお呼びして、「ジークフリート・クラカウアーの美学と政治をめぐって」という講演をしていただきます。

「現代思想におけるハイデガー研究会」二月活動報告

文責:葛西李成(社会学系・比較文明学)
活動日:2/7、2/14、2/21、2/28

二月の研究会では、マルティン・ハイデガー『存在と時間』の序論「存在の意味への問いの提示」を扱いました。既存の哲学史への批判を交えながら徐々に現存在の存在へと照準を合わせていくハイデガーの歩みに連れ添いながら、丁寧に解釈を進めることができたと思います。また、ギリシア哲学やドイツ観念論からの影響や、サルトル・レヴィナス・デリダ・ラカンらとの対応関係などについても充実した議論ができました。来月も引き続き、『存在と時間』を読み進めていく予定です。

「ラカンと現代社会」研究会 2月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日:2月9、27日
 2月の研究会では、引き続きラカンのセミネール『精神分析の四基本概念』の第Ⅳ講を読みました。重要な概念のひとつである「反復」を巡り、どのように解釈できるか議論しました。
また、メンバーの研究発表も行いました。臨床心理学や精神医学をベースに「枠」という概念を再考するもので、こちらも精神分析理論と心理療法の関係を考える上で有益でした。