大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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美的近代研究プロジェクト 第二回読書会報告

2022年1月30日に実施された、哲学の実験オープンラボの公認プロジェクトの読書会です。以下は参加された学生の報告です。

文責:安藤歴(共生学系・共生の人間学)

1月30日(日)

美的近代研究会メンバー8人参加

今回は、ユルゲン・ハーバーマス『近代未完のプロジェクト』に所収されている「近代未完のプロジェクト」という講演録を読みました。この講演録は、アドルノ賞受賞記念講演であり、アドルノのモデルネ論を引き継ぎつつも、「モデルネというプロジェクト」を「止揚のプログラム」ではなく「啓蒙のプログラム」として擁護しようとするハーバーマスの立場を確認しました。同時代の議論に対するハーバーマスの批判やカント読解、文化的伝統の意義付けなど、様々に議論を行いました。
次回は、2月15日19時から、神戸大学准教授の石田圭子さんをお呼びして、「ファシズムと崇高」というタイトルでお話しいただく予定です。

〈新しい資本主義〉の彼方へ〜ポストン『時間・労働・支配』増刷記念シンポジウム

1/10(月)「〈新しい資本主義〉の彼方へ〜ポストン『時間・労働・支配』増刷記念シンポジウム」をZoomウェビナーにて開催いたしました。哲学の実験オープンラボ主催、筑摩書房協賛でした。事前の参加申込者は104名と盛況でした。当日の参加者は50名ほど、これは直前のリマインド等の工夫が必要だったかも知れません。

パネリストは、梅森直之(早稲田大学)、栗原康(東北芸術工科大学)、白井聡(京都精華大学)、野尻英一(大阪大学)、司会は松坂裕晃(大阪経済大学)。ポストン理論の経済理論としての評価、日本の失われた30年、ナショナリズムとアナーキズムなど、議論が活発に行われました。

また急きょ、米国ウィスコンシン大学よりヴィレン・ムーティ教授(ポストンの弟子の一人)に登場いただき、モイシェ・ポストンの抽象的時間の支配論とハリー・ハルトゥーニアン(『近代による超克』)の多様な時間性論の比較について、重厚なコメントがありました。

フロアからは若い世代からの質問も出て、良いやり取りができました。こうしたウェビナーのオープンイベントの開催は、野尻としては初めてでした。コツが掴めましたので、今後はもっとうまくいきそうです。