第16回ジジェク研究会
日時:2024年10月19日(土) 13:30〜17:30
場所:zoomミーティング
参加人数:17名
プログラム
1.ジジェク研究会a:飯泉佑介「今日、ヘーゲル主義者であることはいかにして可能か――ヘーゲルを歴史的に反復するジジェク」
2.ジジェク研究会b:吉松覚「アンドレ・グリーンとジジェクの接近するポイントに向けて」
概要報告
今月は飯泉佑介氏(福岡大学)と吉松覚氏(帝京大学)2名の発表がなされた。
飯泉氏は、ジジェクがLess Than Nothingで展開する(ヘーゲル以後になす)「ヘーゲルの歴史的反復」について、同書以前での「反復」論を踏まえつつ論じた。ジジェクはヘーゲル的反復では捉えられないものとしての「純粋反復」をラカンが捉えているとするものの、絶対的否定性が純粋反復であるなら、ある種の位置づけがヘーゲルにおいてすでになされている可能性に言及するなど飯泉氏独自の見解まで示された。
吉松氏は、ラカンの下で修業したエジプト出身の精神分析家アンドレ・グリーンの『否定的なものの労苦』を介して、ヘーゲルと精神分析、ジジェクの関係について論じた。グリーンは同書の「ヘーゲルとフロイト」章で両者の比較を行い、交差を認めるものの、後年にはヘーゲルから離れていく。現代のラカン派ジジェクにまでつながり得る、「否定」をめぐるヘーゲルと精神分析の距離がある種の軸となるものであった。議論や実施内容の詳細は添付資料を参照のこと。
文責:丸山由晴(比較文明学)