大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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第11回ジジェク研究会

日時:2024年5月25日(土) 13:30〜17:45
場所:zoomミーティング
参加人数:17名
プログラム

  1. データベース・ミーティング:Less Than Nothing, Chap.4: Is It Still Possible to Be a Hegelian Today? より冒頭およびHegel versus Nietzsche 節(pp.193-196 )
  2. 発表(客本敦成(大阪大学大学院))「複数の〈見ること〉 ジジェクと日本の文化批評家たち」
  3. 発表(高橋若木(大正大学))「Surplus and Dictatorship: Intersections of Zizek’s Critiques of Badiou and Karatani 」

本年度に入って初めての本格的な研究会であった。

著作が膨大かつ多種多様なことを著述するジジェクの総体を捉えるための思想のマッピングを目指す、データベースミーティングプロジェクトでは、今年度より近年のジジェクの主著である、Less Than Nothingがテキストとなった。新体制初回では、ヘーゲルに関する部である、PartⅡよりChapter4  Is It Still Possible to Be a Hegelian Today?を取り扱った。タイトル通り、「ポスト・ヘーゲル的切断」を経て、今ヘーゲル的思考を肯定する仕方が特に議論となった。ジジェクによれば、単にヘーゲル以後の思想家によるヘーゲル批判を無きものとして否認するのではなく、むしろ彼らこそが否認しているヘーゲルの次元に焦点を当てることこそが、今日ヘーゲルを繰り返すにあたって肝要なのだという。まだ始まったばかりで、また今回は時間の制約上多くは進まなかったが、以後もその進展を検討していきたい。

さて後半の研究発表でも、今年度より、International Journal of Zizek Studies詩への論文投稿に向けての構想案検討が始まった。
初めの客本氏による発表では、日本の批評家・哲学者の東浩紀によるジジェク批判と受容が、日本の「オタク」論をめぐって重要な意義を持つことが主張された。
続く高橋若木氏からは、ジジェクが、フランスの哲学者アラン・バディウと日本の批評家柄谷行人を批判的に継承する中で、ジジェクの革命論(革命の主体、革命後の体制、それらを裏打ちする原理論)が彫塑されていったのだと発表がなされた。
いずれの発表においても、昨年度より引き続き当研究会ならではの活発かつ綿密な議論がなされた。

文責:丸山由晴(比較文明学・M3)