大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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マイクロアグレッション関連文献読書会 6月活動報告

文責:客本敦成(社会学系・比較文明学)
活動日|6月17日
参加人数|いずれも5名

 今回の研究会では、2件の研究発表を行いました。まず客本敦成(大阪大学大学院、本報告執筆者)が、現在のマイクロアグレッション研究を巡る哲学的研究の現状と今後の方向性を議論しました。具体的には、Jeanine Weekes Schroerの論文”Giving Them Something They can Feel: On the Strategy of Scientizing the Phenomenology of Race and Racism”における、マイクロアグレッションの被害者の「証言」についての問題提起を紹介したうえで、ジュディス・バトラーの「反覆」という概念を導入し、「証言」を言説の運動のなかで位置づけることの必要性を主張しました。
 次に奥村晴奈(大阪大学大学院)が、マイクロアグレッション研究とアーヴィング・ゴフマンのスティグマ論を比較検討しました。ゴフマンの「可視的なスティグマ」「不可視的なスティグマ」という区別を導入することによってマイクロアグレッション現象のより精緻な分析がなされることが期待される一方で、ゴフマンのスティグマ論における「相互行為」という前提がマイクロアグレッション現象の前提と完全に重なるわけではなく、今後も見当が必要であることが主張されました。
 次回も引き続き研究発表を行う予定です。