大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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パネルディスカッション「竹内好のアジア主義と現代―転移関係を超えて―」を開催しました。

7月23日に「哲学の実験オープンラボ」公式イベントとして、早稲田大学SGUグローバルアジア研究拠点との共催として、竹内好のアジア主義についてのパネルディスカッションを行いました。20世紀帝国主義戦争の遺産である国民国家相互の歴史解釈をめぐる和解の問題はいまだ日本とアジア諸国とのあいだに横たわります。また一方でハイパーグローバリゼーションの時代となり経済や文化の交流がもたらす欲望や幻想の交換が国境を超えていっそう人々をつなぎ始めています。こうした中、日本社会は、変化の兆しはあるものの、いまだ1945年以降に形成された国民国家の閉域に想像力を閉じ込め、アジアに向かって開いていないように見えます。竹内好は戦後1940・50年代に早くもアジア主義を唱え、この想像力の閉域への「抵抗」を試みました。重要なのは、竹内が述べていたように、問題意識を「のせて動かしている場」についての理解です。いま日本人の想像力は、精神分析の用語を使うならば、どのような転移関係から/へシフトしようとしているのでしょうか。本パネルディスカッションでは、竹内好の問題意識を切り口に、現代日本人の想像力の可能性を問いました。
コーネル大学・酒井直樹名誉特別教授をお招きし、ヴィレン・ムーティ教授(東アジア思想史・ウィスコンシン大学)、梅森直之教授(日本政治思想史・早稲田大学)、野尻英一教授(比較文明学・大阪大学)のメンバーで、現代的観点から竹内好の「方法としてのアジア」の有効性について、議論が行われました。ハイブリッド方式で行われ、参加者申し込みは102名と盛況で、フロアからも活発な質問が出ました。