大阪大学
大阪大学大学院人間科学研究科 附属 未来共創センター
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インターンシップ体験記(1)哲学の実験オープンラボⅹ株式会社レイ・クリエーション

2021年10月18日から22日にかけて実施された、哲学の実験オープンプロジェクト初のインターンシップ企画です。以下はインターンシップに参加された学生の体験談です。

哲学の実験オープンラボ主催インターンシップに参加してきました!

松田萌黄  2021/10/29

受入先:株式会社レイ・クリエーション

実施期間:2021/10/18~22

比較文明学M1の藤井さんと一緒に参加させていただきました。

自己紹介

名前:松田 萌黄(まつだ もえぎ)

学年:M2

所属:社会環境学講座 経験社会学研究室

哲学の実験グループにいるきっかけ:学部生時代に野尻先生のゼミに出席していたこと

好きなもの:手芸、生き物

最近気になっているもの:hololiveEN、ランニング

はじめに

この文章を読んでいる方はきっと「哲学の実験グループ」ホームページをご覧になったことがあると思います。

トップページ – 哲学の実験グループ | ⼤阪⼤学⼈間科学部 ⼈間科学研究科 (osaka-u.ac.jp)

大学の研究室のホームページは無機質なものが多い中、イラストも豊富でキャッチ―なデザインです。先生方の研究内容もわかりやすく紹介されており、哲学のかたくてむずかしいイメージが変わるホームページだと感じました。

ここで疑問が生まれます。このページ、先生方がご自身でつくったわけではないやろうし……どうやって作られたんやろ?と。

こちらのホームページを制作されたのが、今回インターンシップを受け入れてくださいました、株式会社レイ・クリエーションさまです。ちなみにこの文章がブログとして上がる予定となっている「哲学の実験オープンラボ」のホームページもレイ・クリエーションさまの制作です。

情報デザインのレイ・クリエーション | 東京・大阪 (raycreation.co.jp)

エネルギー・医療・産業機械分野をメインに制作されていらっしゃる、デザイン事務所さんです。機械のしくみのように「わかりにくいこと」を「デザインでわかりやすく」伝える会社です。主に紹介動画やパンフレットを制作されていますが、学会や展示会などのイベントをサポートする事業もされていらっしゃいます。

私は大学にいると「こんなに面白い学問や研究がたくさんあるのに、外部の方々に知ってもらえる機会があまりない……」と感じることがよくあります。その原因には、大学で取り扱われているもの・こと自体に難解でとっつきにくい印象を持たれていることがあるのでは、と思います。

「哲学の実験グループ」ホームページのように、学問のおもしろさをわかりやすく伝えるにはどうすればよいか。このインターンシップでその答えが見つかるかもしれないと思いました。

レイ・クリエーションさんについて~デザイン事務所ってどんなところ?~

↑本町(大阪のオフィス街)にある、レイ・クリエーションさまのオフィスのようすです。入口には素敵な生け花が飾られており、開放的な空間で、一般的にイメージされる企業のオフィスとは雰囲気が違います。驚いたことに、オフィスは数年に一度定期的に引越しをしているそうです。

お仕事は大きく「営業」と「制作」に分けられます。まず、営業さんが実際にお客様と会ってお話しして、お客様の要望をまとめます。そして制作担当、つまりデザイナーさんが、営業さんがとりまとめた依頼に沿うように動画やパンフレットやホームページをつくります。WEBデザインをする方、CGを作る方、各々技術をお持ちです。

様々な形態のお仕事があるので、全てがこの通りではありませんが、こんな感じでプロジェクトが進んでいきます。

今回のインターンシップでは、主に営業の松井さまと原田社長に同行し、打ち合わせやイベントに参加させていただきました。お二人ともたいへん気さくな、魅力にあふれる方で、お話がめっちゃ面白かったです。

いろんな場所に行っていろんな人と会った

↑はインターンシップ期間中に訪れた場所です。たくさん出かけました!

初日は東大阪の中小企業さん、2日目は府内の私大、3日目と5日目は京都で開催されたサイエンスなイベントに行きました。3日目は準備、5日目は本番でした。

中小企業さんでは製品紹介動画やホームページ制作についての打ち合わせを行いました。

大学では原田社長が1回生の講義を担当されるということで一緒に参加し、グループワークをしました。

京都のイベントはノーベル賞受賞者の方がいらしており、特に準備段階では「絶対に失敗できない」という緊張感がありました。

このようにレイ・クリエーションさまには幅広くお客様がいらっしゃることに驚きました。営業の松井さまとインターンシップ前にやり取りさせていただいた際、「やっていることの振り幅がとても広いので、退屈しないと思います」と仰っておられたのですが、その通りでした。毎日新しい出会いの連続で、大変刺激的でした。初日に伺った町工場さんで人生初の名刺交換をさせていただいたことは思い出です。

それぞれの現場で感じたり考えたり学んだりしたことがいくつもありましたが、共通していたことは「たくさんの話し合いが重ねられている」こと、「話し合いをまとめ、方針を決定する人が必要だ」ということです。話し合いを重ねなければ相手方の要望やこだわりをつかむことができません。そして、誰かが「これでいこう!」と決めなければプロジェクトは動き出しません。大切な役割だと感じました。

「自閉症学超会議!」~は仮想空間でお会いしましょう~

哲学の実験オープンラボとかかわりの深いお仕事も体験させていただきました。

来年の4月に哲学の実験オープンラボ公式イベント「自閉症学超会議!」がレイ・クリエーションさまのご協力のもと、開催されます。こちらの社内打ち合わせに参加させていただきました。

このイベントはなんと!仮想空間で行われます。Virbela(バーベラ)という3D仮想オフィスが会場となります。参加者は各々作成したアバターを操作し、対面イベントのように会場内を自由に歩き回ることができます。オンラインイベントもここまできたのか!と、すごいワクワクしますね。私と藤井さんもVirbelaの世界に飛び込んできました。もしかすると、Virbela操作マスターとなって皆様をご案内する日が来るかもしれません。

しかし、仮想空間でのイベントはレイ・クリエーションさんでも初となる取り組みのため、これまでのノウハウも何もない状態からつくりあげていかなければなりません。そのため、現状で把握できる問題は何か、念には念を入れて確認していきます。今回の打ち合わせでもいくつか検討が必要なことがらが発見されました。

イベントでは、本番で失敗がないことが第一です。3日目と5日目に伺ったイベントでは会場のネット配信が行われましたが、回線落ちに備えて予備のルーターを一式用意されていらっしゃいました。絶対失敗しないよう徹底した対策と準備が行われており、そのおかげで、イベントの参加者は不自由なく過ごすことができるのです。

私もこれまで様々なイベントに参加してきましたが、目に見えないところで多くの方々に支えられているのだと実感しました。3日目に準備の様子を見学させていただき、準備にかける情熱と苦労を知った後、イベント本番で発表者の方が壇上でお話されているご様子を見てしみじみとしてしまいました。

「自閉症学超会議!」も、半年先の開催に向けて、今まさにつくりあげられているところなのです。

おわりに

私は「大学の面白いコンテンツを多くの人に知ってもらえていない」という悩みを解決する糸口を求め、レイ・クリエーションさまのインターンシップに参加しました。

今回のインターンシップを通して、デザインの力でその悩みを解決できる、と強く感じました。そして、難しいこと、複雑なことを多くの人たちにわかりやすく伝えるために、様々な努力や工夫がされていることも学びました。インターンシップの期間中、社員の皆様はずっと会話をされていたように思います。社外/社内打ち合わせにとどまらず、小さなことでも大きなことでも、たくさんの話し合いが重ねられていました。こうしてプロジェクトを前に前に進めていくのだと実感しました。

そして、多くの場所に行き、多くの方とお会いしたことで「いろんな世界を知るのはとても楽しい!」ということにも改めて気づきました。大学に戻ってから、これまで以上に文献を読んだり調査に行ったりすることに前向きになれました。自分の中で「新しいことを知りたい!」という気持ちが強くなったなぁ、と感じています。

今後インターンシップが開催される際は、会社や業界、お仕事の内容にご興味のある方はもちろん、「研究者になるから……」「デザイン事務所への就職は考えてないから……」という方にも是非参加していただきたいです。

最後になりましたが、インターンシップを快く受け入れてくださった株式会社レイ・クリエーションの原田社長、松井さま、有田さまはじめ社員の皆様には大変お世話になりました。5日間という短い期間でしたが、毎日が新しい人・もの・こととの出会いで、刺激的で、楽しかったです。ありがとうございました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

文責:松田萌黄(経験社会学M2)