「私たちのリカバリー:専門家が語る回復する人としての物語」
2026年7月26日(月)13時00分~16時00分
主催:哲学と質的研究室(協力:NPO法人Goodwill、じゃがじゃがプロジェクト)
レポート作成者:大野美子
講演会「私たちのリカバリー」を開催しました。当初、定員50名で募集を開始したところ、募集開始後数週間で定員を超える申し込みがあったため、募集枠を100名まで拡大しました。開催前日にちょうど100名の申込みがあり、当日参加者は77名で、精神保健医療専門職(医師・看護師・心理士・作業療法士・精神保健福祉士等)に加えて、精神保健医療のユーザーやケアにあたる家族、一般市民など、幅広い立場の方々が、日本各地から参集してくださいました。今回の講演会は、メンタルヘルス専門職も傷を抱えること、その傷を手当てしながら臨床実践を続けていること、傷は他者の傷を手当てして共に生きるための大切な資源になりうることを、参加者と共有したいとの思いで、ケン・タナカ氏と約1年の対話を通じて丁寧に企画したものです。ケン・タナカ氏(精神科医)は、日本にルーツをもちオランダで育つ過程で抱えた葛藤・傷つきと、ルーツである日本につながることで歩んだリカバリー、それがどのように現在の実践につながっているかをお話してくださいました。大野美子(精神保健福祉士・公認心理師)は、精神科ユーザー・家族・専門職・研究者という複数の立場から歩んだリカバリーの道と、オランダのピアスタッフと出逢いを経てピアリサーチャーとしてのアイデンティティを獲得していく過程をお話しました。両者ともに、知識を伝達するのでなく、個人の経験・感情を伝えることに焦点を置くことを心がけました。その結果、参加者を交えたディスカッションの時間では、参加者の皆さんが各自の経験や感情を振り返りながら、浮かんできた言葉を紡ぎあう時間となりました。終了後アンケートにおいても、自由記述欄に話し足りなかったこと、触発されて感じた思いを、丁寧に綴ってくださる方が多くいらっしゃいました。「弱さ」に対する専門職のスティグマを解消していくための試みとして大きな成果があったと思います。今後さまざまな仕方でこのディスカッションを続けていこうと思いました。